「スマホがない環境に不安」92.3% — ながらスマホ調査のもう一つの数字
ながらスマホの調査では、やめようと思わない人が28.9%、スマホがない環境に不安を感じる人が92.3%でした。似た数字の88.8%とは母数も設問も違います。どこまで言える数字なのかを開いて確かめます。
「スマホがないと不安」という見出しは、調査が出るたびに流れてきます。よく見ると 92.3% のときと 88.8% のときがあり、どちらも「9 割」と書かれています。この 2 つは別の調査の別の設問で、母数も違います。数字を開いて、どこまで言えるのかを確かめます。
同じ月の、2つの別の調査
Job 総研(パーソルキャリア)は 2024 年 11 月 6 日〜11 日に、全国の 20〜50 代の社会人 606 人へのインターネット調査を行い、結果を 2 本のプレスリリースに分けて公表しています。
| 調査名 | 公開 | 主なテーマ |
|---|---|---|
| 2024 年 スマホ使用の実態調査 | 2024 年 11 月 25 日 | ながらスマホ・歩きスマホ・やめる意識 |
| 2024 年 スマホ依存の実態調査 | 2024 年 12 月 2 日 | 使いすぎの自覚・使用時間・支障 |
後者の数字(1 日の平均 264.7 分、支障の内訳)はこのサイトでもよく引いています。この記事で扱うのは、前者のあまり引用されない側です。
92.3%の母数は「ながらスマホをする477人」
「スマホ使用の実態調査」では、606 人のうち日常的にながらスマホを「する派」が 78.7%、人数にして 477 人でした。この 477 人に対して、スマホがない環境に不安を感じるかを聞いた結果が 92.3% です。内訳は「とても不安を感じる」22.9%、「不安を感じる」33.3%、「どちらかといえば不安を感じる」36.1% でした。
一方、別記事で引いている 88.8% は「スマホ依存の実態調査」のほうで、使いすぎの自覚があると答えた 450 人への質問です。似た設問に見えますが、聞かれている人の集団が違います。不安の中身を分けて対処する話は「スマホがないと不安になるときに試すこと」にまとめています。
どちらの数字も「社会人の 9 割が不安」ではありません。言えるのは、ながらスマホをする人のあいだでも、使いすぎを自覚している人のあいだでも、不安を感じる人が 9 割前後いるところまでです。母数の違う数字を並べて読む手順は「スマホの平均使用時間はどれくらい?」で整理しています。
「やめようと思わない」28.9%という側
同じ 477 人に、ながらスマホをやめる意識を聞いた結果が「やめようと思わない派」28.9% です。内訳は「全くやめようと思わない」7.3%、「やめようと思わない」13.6%、「どちらかといえばやめようと思わない」8.0% でした。
この数字は、よく引かれる「使いすぎをやめたい 77.6%」(スマホ依存の実態調査、自覚のある 450 人)と正反対に見えます。ただし設問の対象が違います。片方は使いすぎ全般、もう片方はながらスマホという具体的な行動です。
| 数字 | 調査 | 母数 | 聞いていること |
|---|---|---|---|
| やめたい 77.6% | スマホ依存の実態調査 | 自覚あり 450 人 | 使いすぎ全般をやめたいか |
| やめようと思わない 28.9% | スマホ使用の実態調査 | ながらスマホをする 477 人 | ながらスマホをやめる気があるか |
| 不安を感じる 92.3% | スマホ使用の実態調査 | ながらスマホをする 477 人 | スマホがない環境への不安 |
読み取れるのは、減らしたい気持ちと、手放したくない用途は同時にあるということです。自由記述にも「地図や乗換案内を見たいので歩きスマホをよくする」「スマホに交通系 IC が入っているので電車に乗る前は必然的に歩きスマホになる」という声が並んでいました。
「やめたくない」と「気づいていない」は別
もう一つ、この調査には分けて読むべき数字があります。606 人のうち歩きスマホを「する派」は 61.5%(よくする 7.9%、する 15.3%、どちらかといえばする 38.3%)。そのうち 373 人に無意識かどうかを聞くと、「無意識的派」が 64.6% でした。
やめたくない用途(地図・決済・連絡)は自分で選んでいる行動です。無意識に開いている時間は、選んでいない行動です。対策を考えるとき、この 2 つは別々に扱わないと混ざります。何を使いすぎているかを順位で見る話は「「スマホ依存」の調査データを読む」にあります。
なお同じ調査では、606 人のうち 85.3% が歩きスマホをしている人に危険を感じた経験があると答えています。場面を限って端末を手から離す形の作り方は「食事中のスマホをテーブルから外す」が参考になります。
今日やること(5分)
調査を読んだあとにやることは、自分の 28.9% と 92.3% を言葉にしておくことです。
- 手放したくない用途を 3 つ書き出す(例: 地図、決済、家族からの連絡)
- その 3 つを「止めない側」として固定する
- 無意識に開いている場面を 1 つ書き出す(例: 信号待ち、エレベーター)
- 止めるのはその 1 場面だけにして、1 週間ようすを見る
全部を遠ざけようとすると、92.3% 側の不安が勝ちます。止めない側を先に決めておくと、残りを動かす余地が出ます。
出典
- Job 総研(パーソルキャリア)「2024 年 スマホ使用の実態調査」現在職を持つ JobQ Town 登録者、全国/男女/20〜50 代、606 人、2024 年 11 月 6 日〜11 日、インターネット調査、2024 年 11 月 25 日公開(ながらスマホをする派 78.7%=477 人、歩きスマホをする派 61.5%、歩きスマホをする 373 人のうち無意識的派 64.6%、危険を感じた経験 85.3% は 606 人。やめようと思わない派 28.9% と不安を感じる派 92.3% は 477 人への質問): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000226.000013597.html
- Job 総研(パーソルキャリア)「2024 年 スマホ依存の実態調査」同条件の社会人 606 人、2024 年 11 月 6 日〜11 日、インターネット調査、2024 年 12 月 2 日公開(自覚ありは 606 人のうち 74.3%=450 人。やめたい 77.6%、不安を感じる派 88.8%、1 日の平均使用時間 264.7 分は、いずれも自覚ありの 450 人への質問): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000227.000013597.html
※この記事は公表されている調査を紹介したもので、医学的な診断や助言ではありません。
よくある質問(まとめ)
- 「スマホがない環境に不安」は何%ですか?
- Job 総研「2024 年 スマホ使用の実態調査」(社会人 606 人、2024 年 11 月実施)では、日常的にながらスマホをすると答えた 477 人のうち 92.3% が不安を感じる派でした。内訳は「とても不安を感じる」22.9%、「不安を感じる」33.3%、「どちらかといえば不安を感じる」36.1% です。
- 92.3%と88.8%は、どちらが正しいのですか?
- どちらも正しく、別の調査の別の設問です。92.3% は「スマホ使用の実態調査」でながらスマホをする 477 人に聞いた数字、88.8% は「スマホ依存の実態調査」で使いすぎの自覚がある 450 人に聞いた数字です。母数が違うので足したり比べたりはできません。
- 「やめようと思わない」が28.9%もいるのはなぜですか?
- 調査では理由までは聞いていないため、断定はできません。同じ調査で、ながらスマホをする人の 92.3% がスマホのない環境に不安を感じると答えていることから、不安が背景にあると考えられる、という整理がされています。
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