つい開いてしまうスマホの「きっかけ」を3つ書き出す — 無意識の1回を見つける3日間
気づいたらスマホを開いている。社会人606人の調査では、使いすぎの理由の上位が「無意識に時間が経っている」「少し時間が空くと開いてしまう」でした。開く直前の3秒に何が起きているかを3日間で書き出し、きっかけ別に手を1つ決める手順です。
ポケットからスマホを出した記憶が無いのに、気づくと画面を見ている。何を見ようとしたのかは思い出せない。この「無意識の 1 回」は、見ようと決めて開いた 1 回とは別の仕組みで起きています。
使いすぎかどうかを確かめる段階はスマホの使いすぎセルフチェック10項目にまとめてあります。この記事はその次、開く直前の 3 秒に何が起きているかを特定するところだけを扱います。
開く理由の上位は「意志」ではなく「状況」だった
Job総研が社会人 606 人に行った調査では、スマホの使いすぎを自覚していると答えた 450 人にその理由を聞いています。回答は上から次の順でした。
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 無意識に時間が経っている | 78.2% |
| 少し時間が空くと開いてしまう | 66.7% |
| スマホなしでは 1 日過ごせない | 57.4% |
同じ 450 人の使用目的は SNS 54.7%、動画視聴 49.6% の順です。
注目したいのは上位 2 つの形です。どちらも「見たいものがあったから開いた」ではなく、時間が空いた・気づいたら経っていたという、状況が先に来る答えになっています。見たいものが先にある 1 回は自分で止められますが、状況が先に来る 1 回は、状況のほうを変えないと同じ回数だけ繰り返されます。
そして状況は人によって違います。他人の対策がそのまま効かないのは、きっかけが違うからです。
3日間、きっかけを3つだけ書き出す
やることは記録ですが、全部の回数を数える必要はありません。気づいたときだけ、3 つの項目をメモします。
- 時刻(だいたいで良い。21 時ごろ、など)
- 直前にしていたこと(終わった、待っている、迷っている、など)
- 場所(ソファ、机、駅のホーム、トイレ、ベッド)
メモ先はスマホのメモアプリでも紙でも構いませんが、紙のほうが「メモするために開いたついでに 20 分」が起きません。3 日分たまったら並べ替えて、同じ場面が 2 回以上出てきたものを多い順に 3 つ選びます。4 つ目以降は今回は見ません。
3 つに絞るのは、手を入れる場所を増やすと全部が中途半端になるからです。いちばん多い 1 つを消せば、残り 2 つは減った後にもう一度数え直せます。
よくあるきっかけの4つの型と、先に置く手
書き出したメモは、だいたい次の 4 つのどれかに入ります。型が分かると、打つ手が自動的に決まります。
| 型 | よくある場面 | 先に置く手 |
|---|---|---|
| 通知で開く | 音・バナーを見て手が伸びる | 通知そのものを減らす |
| 目に入って開く | 机の上・ホーム画面の 1 ページ目 | 見える場所から外す |
| 手持ち無沙汰で開く | 信号待ち、レンジの 3 分、エレベーター | 空いた時間に置くものを先に決める |
| 切り替えで開く | 1 つ終わった、次に取りかかる前 | 次の動作を 1 つだけ決めておく |
通知で開く型は通知を棚卸しして減らす手順、目に入って開く型はホーム画面を整理して「開かせない」形に作り替える、手持ち無沙汰の型はスマホ疲れのときの「代わりの時間」の作り方が、そのまま打つ手の手順になります。
いちばん見落とされやすいのが 4 つ目の切り替え型です。仕事や家事が 1 つ終わった直後は、次に何をするかが決まっていない数秒が生まれます。この数秒は「少し時間が空く」の最短の形で、終わった直後に何をするかを 1 つ決めておくだけで埋まります。席を立つ、水を飲む、次の 1 件の名前を声に出す、のどれかで足ります。
「開く前」に効く手と「開いた後」に効く手は別
きっかけに手を入れると、開く回数そのものが減ります。ここで期待値を合わせておくと、後でがっかりしません。
アプリを開こうとしたときに一拍置く仕組みを 280 人に 6 週間使ってもらった実験では、その一拍が出た場面の 36% でそのままアプリを閉じ、6 週目には対象アプリを開こうとする回数が 1 週目より 37% 少なくなったと報告されています(PNAS 2023)。一方で、この種の仕組みについては開く回数は減らせても、入った後の滞在時間はあまり変わらないという指摘もあります。
つまり、きっかけへの手当ては「開く回数」に効く手です。開いた後に 40 分続いてしまう問題は別の手当てが要ります。今日は前者だけを扱い、後者は分けて考えてください。混ぜると、効いているのに効いていないように見えます。
3つが見つからない・続かないときの直し方
3 日たってもメモが 2〜3 件しかない: 気づけた回数が少ないだけで、開いていないわけではありません。朝と夜に 1 回ずつ「さっきの数時間で開いた場面」を思い出して足すと埋まります。
全部が「なんとなく」になる: 場所だけを見ます。同じ場所が 3 回出ていれば、それが立派なきっかけです。理由は分からなくて構いません。
手を入れたのに減らない: 型の取り違えがあります。通知を切ったのに減らないなら、きっかけは通知ではなく手持ち無沙汰だった可能性が高い。もう一度 3 日メモして、2 番目に多かった型に移ります。
3 日続かない: 1 日でも構いません。1 日分のメモでも、同じ場面が 2 回出ていればそれを採用します。
今日やること
紙かメモアプリに「時刻・直前・場所」の 3 列を作り、今日から 3 日分だけ埋めます。3 日後に多い順の 3 つを選び、いちばん多い 1 つにだけ手を入れます。残り 2 つは、1 つ目が減ってから改めて数え直してください。
出典
- Job総研(パーソルキャリア)「2024年 スマホ依存の実態調査」社会人男女 606 人、全国・20〜50 代、2024 年 11 月 6 日〜11 日実施、インターネット調査(JobQ Town 登録者)。自覚ありと答えた 450 人への質問で「無意識に時間が経っている」78.2%、「少し時間が空くと開いてしまう」66.7%、「スマホなしでは 1 日過ごせない」57.4%、使用目的は SNS 54.7%・動画視聴 49.6%: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000227.000013597.html
- Grüning et al., PNAS 120(8), 2023(ハイデルベルク大学ほか)。280 名・6 週間のフィールド実験。介入が出た場面の 36% でアプリを閉じ、6 週目の起動試行は 1 週目比 37% 減: https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2213114120
※公表されている調査を紹介したもので、医学的な診断や助言ではありません。
よくある質問(まとめ)
- スマホをつい開いてしまうのは意志が弱いからですか?
- 調査では、使いすぎの自覚がある人が挙げた理由の 1 位は「無意識に時間が経っている」78.2%、2 位が「少し時間が空くと開いてしまう」66.7% でした(Job総研、社会人 606 人、2024 年 11 月実施)。上位 2 つとも、決めてから開いたのではなく状況が先にあったという形の回答です。意志の強さより、開く直前の状況のほうが手を入れやすい部分になります。
- 開いてしまうきっかけは、どうやって見つければいいですか?
- 3 日間、スマホを開いたと気づいたときだけ「時刻・直前にしていたこと・場所」の 3 つをメモします。全部の回数を数える必要はありません。3 日分を並べると同じ場面が 2 回以上出てくるので、回数の多い順に 3 つだけ選びます。
- きっかけが分かったあとは何をすればいいですか?
- きっかけ 1 つにつき手を 1 つだけ決めます。通知で開くなら通知を切る、目に入って開くならホーム画面から外す、手持ち無沙汰で開くなら置くものを先に決める、というように型ごとに手が変わります。3 つ全部に同時に手を入れず、回数のいちばん多い 1 つから始めます。
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