スマホストッパー

集中できないときの90分ブロックの作り方 — 中断を3種類に分けて先に塞ぐ

集中力が続かないのは意志の問題ではなく、中断の入口が開いたままだからです。1日1回の90分ブロックを、スマホ・人・自分の思いつきの3種類の中断に分けて設計する手順をまとめました。

午前中に手をつけるつもりだった仕事が、夕方になってもまだ始まっていない。集中できないと感じる日の多くは、集中力そのものが落ちているのではなく、作業を始める前から中断の入口が開いたままになっているのが原因です。

仕事中にスマホを触ってしまうときの対処では、通知・置き場所・時間帯の 3 点をまとめて扱いました。この記事はそのうちの「1 日 1 回 90 分だけ決める」を取り出して、90 分の中身をどう設計するかだけを書きます。塞ぐのはスマホの中断だけではなく、会議・チャット・自分の思いつきまで含めます。

90 分に根拠はない。それでも 90 分を選ぶ理由

先に正直に書くと、90 分という数字に調査の裏づけはありません。実務上の都合で選んだ長さです。

  • 午前か午後に 1 枠なら、会議の合間に差し込める
  • 1 つの作業を「調べる → 書く → 直す」まで一周させられる
  • 1 日 1 回なら、予定が崩れた日でも翌日に戻せる

社会人 606 人への調査(2024 年 11 月実施)では、スマホ依存の自覚があると答えた 450 人の 1 日平均使用時間が 264.7 分、スマホを触らずに我慢できる平均時間が 197.2 分と報告されています。自己申告の平均値なので実測ではありませんが、90 分は多くの人が自分で見積もる我慢の範囲より短いことになります。無理な長さではなさそうです。

中断は 3 種類に分けて、別々に塞ぐ

集中力を上げる方法は数多く語られますが、中断の種類を分けずに一つの対策でまとめると必ずどこかが残ります。90 分を守るには、入口ごとに別の手を打ちます。

中断の種類具体例90 分の前にやること
スマホから来るSNS・動画・ニュースを開く、通知で手が伸びる端末を別の場所に置き、枠の時間だけ OS 側で開けない状態にする
人から来る会議、チャットの呼びかけ、声をかけられるカレンダーを埋めて予定として見せる。チャットは離席表示にして、戻る時刻を書いておく
自分から来る別の作業を思い出す、調べ物に逸れる紙に逃がす(後述)

3 つ目を軽く見ないでください。スマホを遠ざけてチャットを閉じても、「あの件を確認しないと」と思いついた瞬間に集中は同じように切れます。

最初の 5 分を先に決めておく

90 分の枠が崩れるのは、たいてい最初の 5 分です。何から手をつけるか決まっていないと、その 5 分が「資料を探す」「メールを見る」に吸われ、気づけば残りが半分になっています。

枠を作るときに、最初の 5 分でやる 1 動作まで決めて書いておきます。「見積もりの Excel を開いて 3 行目から埋める」くらいの粒度です。決めてあれば、席に着いて考える時間がなくなります。

思いついたことは画面の外に逃がす

自分から来る中断への対処は、紙とペンを画面の横に置くだけです。思い出したことを書いて、枠が終わってから見ます。

  • 「経費精算まだだった」→ 書く
  • 「あの記事を読みたい」→ 書く
  • 「返信しないとまずいかも」→ 書く

アプリで管理したくなりますが、メモアプリを開いた画面がそのまま他のアプリへの入口になるので、90 分のあいだは紙にします。開く前に一拍おく仕組みの効果には検証があり、280 人・6 週間の実地実験(PNAS 2023、one sec の研究)では、介入が入った場面のうち平均 36% でユーザーがそのままアプリを閉じ、6 週目には開こうとする回数が 1 週目より 37% 少なくなったと報告されています。効いているのは強制力ではなく、手間が増えることです。端末の置き方はスマホの置き場所を決めるにまとめています。

続かないときは 45 分に落とす

90 分が 2 日で崩れたなら、長さが合っていないだけです。45 分に落として、終わりに 10 分の休憩を置きます(休憩でスマホを開かない工夫は休憩のたびにスマホを開かない)。短い枠を毎日通すほうが、長い枠を週 1 回やるより戻せます。

逆に楽に通る日が続いたら、枠を増やすより同じ 1 枠の中身を重い作業に差し替えるのが先です。枠の数を増やすと、予定が崩れた日に全部なくなります。

今日やること(10 分)

  • 明日のカレンダーに 90 分の枠を 1 つ入れる(会議が入りにくい時間帯に)
  • その枠でやる作業を 1 つだけ決め、最初の 5 分の動作まで書く
  • 枠の時間だけ SNS・動画を開けないよう OS 側の制限を 1 つ設定する
  • 紙とペンを机に出しておく
  • チャットの離席表示に戻る時刻を書く

明日 1 枠通ったら、同じ時間帯で 1 週間繰り返します。時間帯を毎日変えると、調整が毎日発生して続きません。

出典

  • Job 総研(パーソルキャリア)「2024 年 スマホ依存の実態調査」(全国の社会人 606 人、2024 年 11 月 6〜11 日実施、インターネット調査。平均使用時間 264.7 分・我慢できる時間 197.2 分は、依存の自覚ありと回答した 450 人の平均): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000227.000013597.html
  • Grüning, D. J., Riedel, F., & Lorenz-Spreen, P. (2023). Directing smartphone use through the self-nudge app one sec. PNAS, 120(8)(280 人・6 週間の実地実験): https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2213114120

※この記事は公表されている調査を紹介したもので、医学的な診断や助言ではありません。

よくある質問(まとめ)

集中する時間は、なぜ 90 分なのですか?
90 分という数字に調査の裏づけはなく、実務上の都合で選んだ長さです。午前か午後に 1 枠なら会議の合間に差し込め、1 つの作業を「調べる → 書く → 直す」まで一周させられ、1 日 1 回なら予定が崩れた日でも翌日に戻せます。
集中が途切れる原因は、スマホだけですか?
スマホから来る中断のほかに、会議やチャットなど人から来る中断、別の作業を思い出すなど自分から来る中断があります。種類ごとに別の手を打ち、スマホは別の場所に置いて OS 側で開けない状態に、人からの中断はカレンダーと離席表示で、自分の思いつきは紙に書いて逃がします。
90 分の集中が続かないときはどうすればいいですか?
長さが合っていないだけなので、45 分に落として終わりに 10 分の休憩を置きます。短い枠を毎日通すほうが、長い枠を週 1 回やるより戻せます。楽に通るようになったら、枠を増やすより同じ 1 枠の中身を重い作業に差し替えます。

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